血統主義とは?日本の国籍取得ルールを分かりやすく解説

1. 血統主義とは?
国籍を取得する方法には、大きく分けて 「血統主義」 と 「生地主義」 があります。日本では 血統主義 を採用しており、親の国籍が子どもの国籍を決定する仕組みになっています。
血統主義では、たとえ 海外で生まれた子どもであっても、親がその国の国籍を持っていれば子どもも同じ国籍を取得 できます。これは、血のつながりに基づいた考え方に基づいており、親子関係が国籍取得の基本 となります。
一方、生地主義 を採用している国(アメリカ、カナダ、ブラジルなど)では、「その国の領土内で生まれた」という事実が国籍取得の決め手になります。
2. 日本の血統主義:父母両系血統主義とは?
日本では、父母両系血統主義 を採用しています。
◼ 父母両系血統主義の仕組み
父または母のどちらかが日本国籍を持っていれば、生まれた場所に関係なく子どもに日本国籍が付与される というものです。
例えば:
- 父が日本人 × 母が外国籍 → 子どもは日本国籍を取得可能
- 母が日本人 × 父が外国籍 → 子どもは日本国籍を取得可能
この制度により、日本人の親を持つ子どもは国内外問わず日本国籍を取得できます。
◼ 過去の日本:父系優先血統主義
現在は父母両系血統主義ですが、1984年以前の日本では「父系優先血統主義」 を採用していました。
- 父が日本人 × 母が外国籍 → 子どもは日本国籍を取得
- 母が日本人 × 父が外国籍 → 子どもは自動的には日本国籍を取得できない
つまり、以前の日本では 「父が日本国籍でなければ、子どもも日本国籍を取得できない」 というルールだったのです。
3. 血統主義を採用している国
日本と同じく 父母両系血統主義 を採用している国:
- 中国、韓国、タイ、フィリピン
- スペイン、イタリア、ギリシャ
- スウェーデン、フィンランド、ノルウェー
一方、父系優先血統主義 を採用している国は主にイスラム圏に多く見られます。
父系優先血統主義の国:
- アラブ首長国連邦、エジプト、イラン、イラク
- モロッコ、スリランカ、インドネシア など
4. 血統主義の補完措置:日本の特例制度
血統主義の問題点の一つとして、「無国籍の子どもが生まれるリスク」 があります。そのため、日本では 国籍法第2条第3項 において以下のような特例を設けています。
例外的に「生地主義」で日本国籍を取得できるケース ✅ 日本国内で生まれたが、両親が不明の場合 ✅ 日本国内で生まれたが、両親がどちらも国籍を持っていない場合
この制度により、無国籍の子どもが発生しないように配慮 されています。
5. 日本の国籍制度と二重国籍の問題
国によって国籍取得のルールが異なるため、一部の人は 複数の国籍を持つ(二重国籍) ことがあります。しかし、日本では 二重国籍は認められていません。
◼ 日本で帰化する場合
外国籍の方が 日本に帰化する際は、必ず日本国籍のみを選択 する必要があります。
◼ 日本国籍を持つ人が外国籍を取得した場合
日本人が 他の国の国籍を取得すると、自動的に日本国籍を失う 仕組みになっています。
6. まとめ:血統主義と国籍取得のポイント
✅ 日本は「血統主義」を採用しており、親の国籍が子どもの国籍を決定する ✅ 1984年以前は「父系優先血統主義」だったが、現在は「父母両系血統主義」 ✅ 無国籍を防ぐための「例外的な生地主義」も存在する ✅ 日本では二重国籍は認められず、帰化する際は日本国籍のみを選択する必要がある
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